筋肉ムッキムッキの先輩に、自分の甘さを叩き直された事件


あれは僕がアメフトをやっていた大学生のころ。
胸囲が130cmもある筋肉ムッキムッキの先輩がいた。しかもタチの悪いことに極真空手までやっているという無敵ぶり。

 

その先輩はことあるごとに上半身ハダカになり、ボディービルダーのようにポージングしてみせるのだ。ぐっと胸筋が盛り上がった瞬間を見計らって・・

 

 

「パイセン、ナイスポーズです!!」


「スゴい、スゴすぎです!!」

 

 

このかけ声がとても重要だ・・


2秒遅れると殴られる。

 

年齢と筋肉量がだいじな恐るべし階級社会・・

 

そんな筋肉パイセンと僕が、ベンチプレスを一緒にやることになったのだ。
(というか、無理やりに・・)

 

「よし、マツガサキ、いけ!」

 

ベンチプレスの重さは80kg。
僕はそれをグッと持ち上げ、それをスムーズに8回ほど上下した。

 

(どうよパイセン、けっこうやるだろ?)

 

(でっ、でも・・)

 

(もっ、もうムリだ・・・)

 

僕の腕はプルプルしだし、
顔は真っ赤にふくれあがった。

 

「パイセン、もうムリっす・・!!」

 

そのとき、筋肉パイセンはこう怒鳴り上げた。

 

「おい、マツガサキ!!」

 

「なめてんじゃねーぞー!!」

 

そして地面をドカンと踏みつけて威嚇した。

 

「殺されてーのか!!」

 

(こっ、殺される・・)

 

(上げるしかない・・)

 

 

限界でもう上がらないと思いつつ、

なんと僕はそこから80kgの重りを3回も上げたのだ。

 

 

やりきった僕は、重りを置き、ベンチプレス台のわきに転がり落ちてゼーゼー息を吐いた。

筋肉パイさんは、僕をゆうゆうと見下ろしながらこう言った。

 

「おい、マツガサキ・・」

 

「限界ってのはな・・」

 

「肉体的なものより・・」

 

「精神的なものが先に来るんだよ」

 

「ホントはお前、もっとやれるんじゃないか?」

 

この筋肉パイセンの教えが、正しかったのかどうかは未だによく分からない。
分からないけれど、オレはもっとやれるんじゃないかな、そう気づけた。

 

もうムリっす

 

そこからもうちょっとやってみる。

そこに新しい未来が広がっているのだ。

 

追伸:
翌日の胸の筋肉痛は、もっと大事件だった・・

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